蛇研裏話
(一財)日本蛇族学術研究所のスタッフが書きまくる、表からは見えない面白話を更新中!!
ハブの人工呼吸
脱皮不全のハブを薬剤液の入ったケージに入れておいたのですが、背中側のぬけがらが取れていなかったため手で取ることにしました。しかし、このハブは1984年頃に成蛇で入ってきた個体で、少なくとも26,7才にはなっています。普段はあまり刺激せずに飼育しているので、攻撃してくることもありません。エサはラットを1ヶ月に1回しか与えていませんが、まさに健康優良児で、体長は170cmほどですが、重くてフックで扱うのが大変なくらいです。採毒実演の時のようにそのままフックで頭を押さえて手で首を持つことなどできるようなハブではありません。

というわけで炭酸ガス麻酔をかけたのですが、長くかけすぎてしまって気が付いたら呼吸が止まっていました。心臓の動きもほとんどなく、あわてて心臓マッサージと人工呼吸を行いました。人工呼吸は体の前方(肺のある部位)を押さえて肺の空気を出し、はなすと体が元に戻る時に空気が入ります。ただ、気管が閉まっていると空気が入らないので、ピンセットなどで時々気管を開きます。これを何度か繰り返すと自発呼吸が出て回復します。トカラハブの採毒の時などにも炭酸ガス麻酔をかけますが、一度に何匹も麻酔するので時々かけすぎてしまい人工呼吸をすることがあります。

今回は何度やっても自発呼吸が見られません。このままではダメだと思い、浮き袋などに使うポンプに新生児用の気管チューブをつないだ人工呼吸器を使って、強制的に空気を送り込みました。
何度かやっているうちに尾が動きましたが、それでもまだ自発呼吸が出ません。さすがに最悪の結果が脳裏をかすめました。あきらめずに続けると、ようやく自発呼吸が出て回復の兆しが見られ徐々に呼吸も戻ってきました。
20年以上飼育している元気なヘビを麻酔のかけすぎで死なせてしまうなんてあまりにも屈辱です。さすがに冷や汗が出ました。これがマムシのような小さなヘビだと、たぶん死んでいたのではないかと思います。
くれぐれも麻酔のかけすぎには注意しましょう。

By A.S.
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