蛇研裏話
(一財)日本蛇族学術研究所のスタッフが書きまくる、表からは見えない面白話を更新中!!
報道のまやかし-世界最小のヘビについて
朝日新聞や毎日新聞に世界最小のヘビについての記事が載っています。
ヘビに関する記事の掲載は、大変ありがたいことだと思っていますが、内容には問題があります。
まず、これまでの最小記録に対する言及がありません。ギネスブックの2007年版には、Leptotyphlops bilineatusを最小として、産地を、マルティニク島、バルバドス島、セントルシア島としています。長さは最大個体で108ミリ。
今回の論文は、ZOOTAXAという電子ジャーナルに掲載されていますが、読んでみますと、上にあげた3つの島から追加個体を採集して、DNAレベルでの比較も行い、3つの島の個体群をそれぞれ独立の種として分割し、バルバドスとセントルシアの個体群に新しい学名を与えたものです。そこで、これら3つの個体群を比較すると、バルバドスのものが一番小さいようなので、これが世界最小のヘビになるという結論です。

さて、そこで問題点は、今回の新種はこれまで最小とされていた種に含まれていたもので、それを最小種の発見と言うのが適当か、ということです。もう1つは、いずれの新聞も、体長を10センチ以下、あるいは10センチ弱と表現していますが、今回の新種の大きな個体は104ミリなので、明らかに誤りです。10センチ以下の個体は、これまでの最小種、L. bilineatusにも含まれており、今回の論文でも、最小の個体は93ミリで新種と変わりません。新聞を読むと、10センチ以下のヘビが初めて見つかったかのような印象を受けますが、そんなことはありません。特に子ヘビはもっと小さく、bilineatusでは、体長6センチの個体も知られています。

今回の報道は、ヘビに注意を引きつける点では成功しましたが、著者の宣伝にマスコミが踊らされているような印象を強く受けます。

by ちみ
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