蛇研裏話
(一財)日本蛇族学術研究所のスタッフが書きまくる、表からは見えない面白話を更新中!!
5ヶ月の断食
 実際には断食ではなく拒食ですが。
原宿の毒蛇事件で押収されてやって来た51匹の毒蛇のほとんどが最初からエサをよく食べているのですが、ブームスラン3匹のうち1匹しか食べてくれませんでした。その1匹は毒蛇温室で展示しています。このヘビはナミヘビ科で、後牙類では日本のヤマカガシとこのヘビで死亡事故が起きています。ナミヘビ科で血清が製造されているのもこの2種だけです。

 残り2匹は蛇庫でケージに入れて飼育していたのですが、エサを与えようとして近づくとすぐに興奮して全くエサに興味を示しません。ウズラのヒナやマウス、ピンクラットなどいろいろ試してみましたが、食べる気配が全くありません。1匹は最初からかなりやせていて、来てから4ヶ月で死んでしまいました。もう1匹だけはなんとか生かしたいと思い、少し大きめの水槽に移して、いつもは覆いをかぶせてできるだけ刺激しないようにし、時々マウスを与えました。それでも全く興味を示しません。

 ある時、またエサを与えようとすると、敷いてある人工芝の下に隠れようとしています。それでも試しにヘビの鼻先にマウスを近づけ、さらに鼻先にくっつけてみました。すると突然咬みついてすぐにのみ込み始めるではないですか。さすがにうれしくなりました。こちらにやってきて5ヶ月と1週間経った日のことでした。翌日も興奮させないようにそっとマウスを鼻先にくっつけるとやはりすぐに食べてくれました。もともとブームスランは太いヘビではないので、5ヶ月もエサを食べずに生きるとは思っていませんでしたので、はっきり言ってほとんどあきらめていました。

 展示しているブームスランは緑色で、今回エサを食べてくれたヘビは茶褐色で、全く違う色をしています。運良く♂♀ですので、本当はいっしょに展示したいのですが、あまり大きな展示ケージではないので、スピードも速く、毒の強いヘビを2匹いっしょに飼育するのは管理が大変です。しかし、できればそのうちいっしょに展示したいと思います。
 ヘビの飼育で、久しぶりに小さな喜びを感じた瞬間でした。

By A.S.
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